ノスタルジアな「ゲイルズバーグの春を愛す」の話をしよう
ご機嫌いかがですか。
おりまーです。
「ゲイルズバーグの春を愛す」という本を紹介します。
あらすじ
近代化の波が押し寄せるアメリカの街、ゲイルズバーグ。
そんなゲイルズバーグに魅せられた新聞記者。
取材の中で近代化の波に抗う不思議な力を目の当たりにするのであった。
表題作を含めた十篇が収められた短篇集。
評価
★★★☆☆
面白い。
SF、ファンタジー、ミステリーといったジャンルを包括した世界観。
ジャック・フィニィが突如として別次元への扉を開いてくれる。
おすすめ三篇
私がオススメするのは、
- 独房ファンタジア ← 一番好き
- 時に境界なし
- コイン・コレクション
以上、掲載順。
独房ファンタジア
一番好きなので詳細も。
あらすじ
ある死刑囚が死刑執行直前になり、ある頼み事をする。
それは絵を描きたいということ。
絵を描くことを認められた死刑囚は黙々と絵を描き始める。
果たして刑の執行までに絵を完成させることができるのか。
感想
泣ける。それに尽きる。
泣かせ方も変化球というか、そんなのアリかよという泣かせ方。
ファンタジーの極み。
見どころ
ノスタルジア
アメリカの古い街並み、ボストンの風景なんて知らないのにそれが見えてきて、すごくノスタルジックな気分にさせる。
質感がすごく伝わる文体だ。
超時空
マクロスではない。
収録されている話の多くで時空を超える出会いがある。
突如としてそこに現れる。
しかし、起こりえない事が起こった時、意外にもそれを冷静に受け止めてしまう。
フィクションの力
フィクションの世界を楽しむ事。
フィクションの心地よさを改めて感じさせる。
「そんな事ありえない」から「そんな事あったらいいな」という気持ちにさせてくれる。
まとめ
過去の世界、選択に縛られた、囚われてしまった者達の声にならない叫び。
その代弁者がジャック・フィニィだ。
ジャックは現在から逃げている。
そして未来を拒否している。
その選択の良し悪しはわからない。
少なくとも面白いという事は分かる。
過去というMEMEをこうして小説の形で伝えている。
MGS2のスネークのセリフのように
「未来を創る事と過去を語り伝える事は同じなんだ」
という事なんだと感じた。