「メタルギアソリッド ピースウォーカー」の話をしよう
ご機嫌いかがですか。
おりまーです。
「インターステラー」の話をしよう、第1回 - おりまーおりまーす。
「インターステラー」の話はひとまず置いて、
本の話をしたいと思います。
今年の読書初めは、大人気ゲームシリーズのノベライゼーションの「メタルギアソリッド ピースウォーカー」です。
買ってから積んだままにしてましたがようやく読めました…
評価
★★★☆☆
サクッと読めます。本を読み慣れてる人なら半日で読めるはず。ゲームやった時あるならなおさら早く読めるはず。
面白かった。
MGSは大好きなゲームシリーズです。ただ、ゲーム体験に勝る感動はなかったです。
あらすじ
第三次世界大戦の危機から世界を救った伝説の兵士、ビッグボス(ネイキッド・スネーク)はアメリカを離れ世界各地の戦場を転々とし、国家に属さない傭兵となっていた。
1974年、スネークは「軍隊を持たない国」コスタリカに流れ付き、現地で謎の兵士や兵器の集団が集まってきいる事を知る。
その調査、排除を依頼されたスネークだが乗り気ではなかったが、クライアントからのあるテープの音声に興味を抱く。テープには、10年前のミッションで死んだはずのスネークの恩師「ザ・ボス」と思われる声が吹き込まれていた。
コスタリカに居るはずの無い「ザ・ボス」の声を追って行き着く先には、平和を願った者達の恐るべき計画が待ち受けていたのであった。
見どころ
伊藤計劃を彷彿とさせる文体?
帯にもメタルギアシリーズの小島秀夫監督が、「伊藤計劃のMEMEを継いだのは誰だ?!」
と書かれていましたがまさに伊藤計劃っぽい文章。あくまで「っぽい」。
しかし読んでみると「屍者の帝国」で円城塔が引き継いで書いた後半部分の、伊藤計劃を意識して書いた文体に似ていると感じた。
実際の史実、科学史を織り交ぜたりするという、読者に知識が無いと少しおいてかれるような感覚になる。
読みやすい文体だが、深く楽しむには読者の知識を要求してくる難しさ。
一見さんお断りではない、そのうえで…
ゲームをやっていなくとも読める。
「ピースウォーカー」の前作に当たる、「METAL GEAR SOLID 3」の内容もカバーしているので舞台背景の知識不足は無いはず。
また、原作には深堀りした設定、没設定、オリジナル設定もあり、ゲームクリア済みでも楽しめる。
その上でこの作品は、第二次大戦後の冷戦下における様々な軍事開発、核抑止論などを絡めてそれらの過ちを伝えてくれる。
メタルギアシリーズの手法で、史実と虚構をうまく絡めてくる手法をノベライゼーションでも活かされている。
痛快なスパイアクション
東西冷戦下はスパイが最も活躍した時代。
007とか好きならツボです。
平和とか反戦反核とかのテーマがありつつも、やっぱりアクションが大事。
単身敵地に乗り込み敵をやっつけていくヒーロー像はいつの時代もかっこいい。
まとめ
スパイものとしてもよくまとまってると思う。
ゲームファンも新たな描写が見えて楽しめる。
ある登場人物曰く、
「平和は歩いては来ない。歩み寄るしかないのだ。」
お互いに相手を尊重して、手を取らなければ平和は訪れない。
また、カントによれば、平和とは人間関係において不自然な状態で、戦争こそが自然な状態であるとしている。
人間が意識して平和を作り出すしかないのだと思う。
それが人間の創りだした幻想の平和であっても、平和であることに変わりはないと思う。
いまだかつて平和の時代はなかったかもしれないが、ジョン・レノンの曲のように平和な世界を「イマジン」しよう。
平和な時代が来ることを祈り、行動しよう。手を取り合って。